ユニバーサルデザインフードとは|病院で「全がゆ」と言われたときの選び方

介護食の棚の前で棚を見上げる探偵犬むぎ。左に「病院で「全がゆ」と言われたら」の文字 介護食・食事
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病院で「全がゆで」と言われた。施設から「きざみ食にしてください」と言われた。その言葉を持って売り場に立つと、棚には見たことのない表示が並んでいます。「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」。言われた言葉と、棚の言葉が、そのままではつながりません。

この4つの区分は、ユニバーサルデザインフード(UDF)という表示です。日本介護食品協議会という団体が定めた自主規格で、加盟する食品メーカーがこの規格に沿って商品を作り、パッケージにマークと区分を印刷しています。どのメーカーの商品でも、同じ言葉で「かたさ」と「粘度」が示されます。

私は福祉用具の相談員として17年働いてきました。そのうちの一時期、介護食を扱う売り場で接客もしていました。この記事では、病院で言われた言葉を売り場のどの表示に当てはめて確認するか、その手順をお伝えします。

📋 この記事でわかること

✔ 病院で言われた食形態が、売り場のどの表示に当たるか

✔ パッケージのどこを見れば区分が分かるか

✔ 同じ棚に並んでいてもUDF商品とは限らないこと

✔ まず1個から試す買い方

かむことや飲み込むことに重要な障がいがある、または、それが疑われる場合は医療機関の専門家にご相談ください。

病院で言われた食形態の言葉と、売り場の表示が結びつかずに困っている家族のイラスト

病院で言われた言葉は、売り場のどこを見るか

売り場に立っていると、介護食を買いに来られる方は、大きく2種類に分かれていました。

ひとつは、病院や施設で食形態を言われて来られる方です。「全がゆと言われた」「きざみと言われた」と、言葉だけを持って来られます。もうひとつは、家族の食事が最近食べにくそうだから、自分で見て選びたいという方です。誰かに指定されたわけではなく、様子を見て考え始めた段階です。

この2つは、入口がまったく違います。前者は「言われた言葉」という出発点があり、後者はそれがありません。ただ、店側がしていたことは同じでした。その言葉が、棚のどの区分に当たるのかを一緒に確認する。それだけです。

言われて来た方には、言葉を区分に置き換える手伝いを。自分で選びたい方には、まずどの区分から見るかを決める手伝いを。入口は2つでも、区分を確認したあとは、同じ選び方に合流します。この記事も、その順番で進みます。

📝 現場より

接客は1日20人前後、週にすると100人前後でした。病院が近かったこともあって、「全がゆと言われた」と紙も持たずに来られる方がよくいました。

紙がなくても、言葉さえ覚えていれば、棚の前で照らし合わせることはできます。次の章から、その照らし合わせ方を見ていきます。

「全がゆ」と言われたときの確認方法

図解:病院で言われた言葉「全がゆ」から矢印が2本に分かれ、「歯ぐきでつぶせる」と「舌でつぶせる」の両方へ届く。ひとつの区分に決まらない

いちばん多かったのが「全がゆ」でした。この言葉は、UDFの区分表にそのまま載っています。日本介護食品協議会が公開している区分表の「ごはん」の行を、そのまま書き出します。

区分ごはん
容易にかめるごはん〜やわらかごはん
歯ぐきでつぶせるやわらかごはん〜全がゆ
舌でつぶせる全がゆ
かまなくてよいペーストがゆ

この表を見ると、「全がゆ」は「歯ぐきでつぶせる」と「舌でつぶせる」の2つの行に出てきます。つまり、全がゆと言われたからといって、区分がひとつに決まるわけではありません。棚の前で迷ったら、そこは病院に確認するところです。

病院や施設では、UDFの区分ではなく「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021」のコードで伝えられることもあります。この分類には、UDF区分との対応が明記されています。含みを消さずに、そのまま書き出します。

コードUDF区分との対応
1j/2-1/2-2かまなくてもよい
3舌でつぶせる/歯ぐきでつぶせる の一部
4舌でつぶせる/歯ぐきでつぶせる/容易にかめる の一部

「の一部」という言葉が入っていることに注目してください。コード3だからといって、「舌でつぶせる」の商品ならどれでも当てはまる、という意味ではありません。対応するのはその区分の一部です。分類のほうが、そう書いています。

出典は次のとおりです。

日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食委員会.日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021.日摂食嚥下リハ会誌 25(2):135–149, 2021.

言葉だけでは判断できないことを注意して伝えるTOCHIのイラスト

もうひとつ、売り場でよく聞いた言葉が「きざみ」です。これは区分表には載っていません。

「きざみ」と言われただけでは、刻む大きさ、とろみの有無、まとまりやすさまで分かりません。病院へ食形態を確認してください。

同じ「きざみ」でも、5ミリなのか1センチなのか、とろみをつけるのかつけないのかで、選ぶ商品は変わります。ここは売り場で決められることではありません。

パッケージで見るUDFの4区分

図解:レトルトパウチの表示エリアから吹き出しが2本。UDFマークと区分名がセットで印刷されている

UDFの区分は4つです。上から順に、かむ力・飲み込む力が必要な順に並んでいます。

区分かむ力の目安飲み込む力の目安
容易にかめるかたいものや大きいものはやや食べづらい普通に飲み込める
歯ぐきでつぶせるかたいものや大きいものは食べづらいものによっては飲み込みづらいことがある
舌でつぶせる細かくてやわらかければ食べられる水やお茶が飲み込みづらいことがある
かまなくてよい固形物は小さくても食べづらい水やお茶が飲み込みづらい

この4つの区分は、パッケージの表面に印刷されています。商品名の近く、あるいはパッケージの上部や角に、UDFのマークと区分名がセットで入っています。マークだけ、区分名だけ、ということはありません。どちらも同じ場所にあります。

介護食売り場の棚。キユーピーやさしい献立のパウチが、区分ごとに紫と赤で色分けされて並んでいる

店頭例(撮影時点)。価格は商品や販売店によって異なります。

写真の棚では、パッケージの色が区分ごとに分かれていました。左側の紫は「容易にかめる」、右側の赤は「歯ぐきでつぶせる」です。色が違えば区分が違う、と見当をつけられます。

ただし、色は商品を見分ける手がかりであって、確認するのは区分の名前です。色の使い方はメーカーやシリーズによって変わります。棚で目星をつけたら、最後はパッケージに印刷された区分名を読んでください。

パッケージのどこを見るかを指し示すTOCHIのイラスト

UDFと似た名称を使う別の表示もあります

介護食には、UDFとは別に、農林水産省の「スマイルケア食」という枠組みもあります。識別マークは、栄養補給を必要とする人向けの青、噛むことに問題がある人向けの黄、飲み込むことに問題がある人向けの赤の3種類です。黄マークには「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」という、UDFと同じ区分名が使われています。ただし、黄マークはJAS、UDFは日本介護食品協議会の自主規格に基づく別の表示です。同じ基準、または相互に置き換えられる区分とは扱わず、パッケージにどの制度・区分が表示されているかを確認してください。食べることに不安がある場合は、医師、歯科医師、管理栄養士等へ相談してください。

出典:農林水産省「スマイルケア食」

同じ棚でも、すべてがUDF商品とは限らない

図解:確かめるのはパッケージ。①棚から手に取る ②パッケージを見る ③マークと区分名を確認 ④UDF商品かどうかが分かる

ここが、売り場で見落とされやすいところです。介護食のコーナーに並んでいる商品が、全部UDF商品とは限りません。

介護食売り場の棚。おじや、なめらか野菜、おいしくミキサーのパウチが並び、UDFマークのない一般のレトルトカレーも同じ棚に置かれている

店頭例(撮影時点)。価格は商品や販売店によって異なります。

この写真の棚には、UDFの区分表示があるパウチが並んでいます。橙は「舌でつぶせる」、緑は「かまなくてよい」です。ただし、この棚に並んでいるものが全部そうだとは限りません。同じ棚に、UDFマークのない商品が並んでいることがあります。

商品名も、手がかりにはなりません。「やわらか」「おじや」「なめらか」といった言葉が入っていても、それだけではUDFの区分が付いているかどうかは分かりません。逆に、区分が付いていてもそういう言葉が入っていない商品もあります。

見分ける方法はひとつです。パッケージにUDFマークと区分名が印刷されているかを、手に取って確かめる。これだけです。棚の場所も、商品名も、見た目のやわらかさも、判断の材料にはなりません。

棚は、店ごとに事情があって作られています。介護食コーナーに関連商品をまとめて置くことも、ごく普通のことです。だから確認するのは棚ではなく、パッケージ——そう覚えておくと、どの店でも同じやり方が使えます。

棚ではなくパッケージを確認する手順を示すTOCHIのイラスト

同じ区分から、まず1個買って試す

区分が決まったら、次は商品を選ぶ番です。ここでお伝えしたいのは、同じ区分の中で、1個ずつ確かめていくという買い方です。

ひとつの区分の中にも、味も量も違う商品がいくつも入っています。同じ「舌でつぶせる」でも、おじやもあれば、おかずもあります。量も1袋100グラムのものから150グラムのものまであります。

ここで確かめるのは、味・量・食べやすさです。指定された区分そのものを変えて試す、という意味ではありません。区分を変えるかどうかは、病院や主治医が決めることです。区分は動かさず、その中で商品を比べていきます。

📝 現場より

まず1個買って、よければまとめて買いに来られる方が多かったです。買って合わなかったから戻したい、という話は受けたことがありません。

まとめ買いから始めると、合わなかったときに残ります。1個から始めれば、そこで止められます。

価格は商品や販売店によって異なります。写真は撮影時点の店頭例です。

🟩 TOCHIの判断ポイント|まず1個から確かめること

まず見る:病院や主治医から言われている食形態

次に:同じ区分の中で、味と量の違う商品を1個ずつ

確認する:食べきれたか、まとまりやすかったかを、次に買う前に

メーカー・味・量から続けやすいものを選ぶ

区分を決めたあとの商品の選び方を案内するTOCHIのイラスト

売り場に立っていて意外だったのは、家族が立ち止まるのは区分ではなかったことです。区分は、言われた言葉と表を照らせば決まります。決まらないのは、その先でした。

同じ区分の中に、メーカーも味も量もいろいろあります。肉じゃが、すき焼き、親子丼風、鮭大根。そこから1つを選ぶところで、時間がかかっていました。

📝 現場より

区分で迷うというより、「どの味にしようか」で立ち止まる方が多かったです。深刻な顔で買いに来られる、という場面ばかりではありませんでした。

調理の手間は、選ぶ条件にはほとんどなっていませんでした。レトルトのパウチはどれも温めるだけで、そこに差がないからです。差が出るのは、味と量と、続けて買えるかどうか。その3つでした。

選べる幅は、区分によって違います。キユーピー「やさしい献立」の商品数を数えると、こうなっていました(2026年8月20日時点)。メーカーによって、区分ごとの品数は変わります。

区分商品数
容易にかめる4
歯ぐきでつぶせる7
舌でつぶせる12
かまなくてよい21

このほか、同じシリーズにとろみ調整食品が4品あります。これはUDFの4区分とは別に定められた「UDF拡張規格」という枠で、飲み物や食事にとろみをつけるためのものです。

「かまなくてよい」がいちばん多く、「容易にかめる」がいちばん少ない構成です。指定された区分によっては、選べる数がそれほど多くないこともあります。

通販で買うときに確かめること

近くの店に置いていない場合、通販という手もあります。ただし通販は、同じ商品でも売り方がまちまちでした。2026年9月5日に実際に見て、確かめた点を挙げます。

  • 同じ商品が、単品・6個・24袋・36個と、バラバラの単位で売られている
  • 単品の扱いはあっても、商品によっては注文できる状態になっていないことがある
  • 出品しているのが通販サイトの運営会社とは限らず、別の販売店のことがある
  • 届くまでに数日かかる(確認した時点では5〜6日先の到着予定でした)
  • 通販サイト限定の商品がある。店頭で買える商品と同じとは限らない

通販でも1個から買えることがありますが、まとめ売りだけの場合や、注文できない状態のこともあります。個数と、届くまでの日数を確かめてから注文してください。

店頭と通販は、見た時点が違います。この記事の写真は撮影時点のもの、通販の情報は確認時点のものです。どちらが得かという比べ方は、ここではしません。

費用の扱い

ここで紹介する市販の介護食は、介護保険サービスとして購入するものではなく、商品代金は自己負担です。一方、自治体が配食や見守りを組み合わせた支援を行っている場合があります。対象者・利用条件・費用は自治体ごとに異なるため、地域包括支援センターや自治体の担当窓口で確認してください。

近くの店にない場合は、同じ区分の商品を確認する

ここで挙げる商品は、順位ではありません。

楽天市場・Yahoo!ショッピングのボタンは、商品名での検索結果に移動します。同じ内容量の商品とは限らないため、注文する前に内容量を確かめてください。

②章で見たとおり、「全がゆ」はひとつの区分に決まりません。上の商品は、そのうち「舌でつぶせる」のごはんです。病院で区分まで言われている場合は、その区分に合うかを確かめてください。同じ区分の商品が近くの店にないときの、確認先のひとつとして挙げました。

区分が分からないときは誰に確認するか

区分が分からないときの相談先を案内するTOCHIのイラスト

ここは、はっきりさせておきたいところです。店員は「分かっている区分の商品を探す手伝い」はできますが、適切な嚥下レベルを決める役割ではありません。

「この区分でいいでしょうか」と聞かれることは、たびたびありました。そのたびに、それは私が決めることではないとお伝えしていました。棚の商品を探すことと、その方に合う食形態を判断することは、別の仕事です。

区分が分からないとき、確認する先は次のとおりです。

  • 主治医
  • 入院していた病院の管理栄養士
  • 言語聴覚士(飲み込みの評価を受けている場合)
  • 歯科医師(かむ力について)

私は店で販売していた立場だったため、ケアマネジャーや管理栄養士へ直接おつなぎした経験はありません。迷ったら主治医・病院の栄養士へ確認してください。

かむことや飲み込むことに重要な障がいがある、または、それが疑われる場合は医療機関の専門家にご相談ください。

退院時の説明の紙が残っていれば、そこに食形態が書かれていることがあります。次の受診があるなら、そのときに聞いておくのが確実です。

市販品で続けにくい場合は宅配食も検討する

市販品のほかに宅配食という選び方もあることを案内するむぎのイラスト

市販のパウチは、1個から買えて、常温で置いておけます。ただ、これを毎日続けるとなると、話が変わってきます。

毎日3食を作り続けるのは、家族にとって負担の大きいことです。買い物に行けない日もあります。介護をしている方が体調を崩すこともあります。同じ区分の商品を、必要な数だけ買い足し続けるのは、思ったよりも手間のかかることでした。

そういうときに、宅配食という選び方があります。食形態を指定して注文でき、決まった日に届く仕組みです。市販品を買い続けるのとは別の方法として、選択肢に入ります。

宅配食は、やわらかさの段階の呼び方が会社ごとに違います。送料が商品代金に含まれるか、変更や解約の締切がいつまでかも、会社によって変わります。申し込む前に、各社の公式サイトで確認してください。

市販品と宅配食は、どちらが良いというものではありません。買いに行ける人は市販品で足ります。それが続けにくいときに、別の方法があるということです。

調査結果:ユニバーサルデザインフードの見方。UDFの区分は4つ。パッケージにマークと区分名がある。「全がゆ」は2つの区分にまたがる。ひとつに決まらない。学会分類2021との対応には「の一部」という含みがある。同じ棚でも、すべてがUDF商品とは限らない。

まとめ

病院で言われた言葉から、売り場の区分にたどりつくまでの順番を並べます。

  • ✅ 病院で言われた言葉を、そのまま持って売り場へ
  • ✅ パッケージの区分表示を見る(色と名前)
  • ✅ 同じ棚でもUDF商品とは限らない
  • ✅ まず1個から、同じ区分の中で試す
  • ✅ 区分が分からないときは主治医・病院の栄養士へ

UDFの区分は、メーカーが違っても同じ言葉で書かれています。一度この4つを覚えてしまえば、どの店の棚でも、同じように読めます。言われた言葉を持って、まずパッケージを1つ手に取るところから始めてみてください。

出典(2026年9月5日確認)
日本介護食品協議会「ユニバーサルデザインフードとは」
農林水産省「スマイルケア食」
日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021……日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食委員会.日摂食嚥下リハ会誌 25(2):135–149, 2021.

執筆・確認:福祉グッズ探偵TOCHI(福祉用具専門相談員/17年)

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