離れて暮らす親の見守りサービスの選び方|センサー・GPS・カメラ・駆けつけの違い

離れて暮らす親の見守りサービスの選び方。センサー・GPS・カメラ・駆けつけの違い 介護サービス・暮らしの支援
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離れて暮らす親のことが気になっても、何から見ればいいのかは分かりにくいものです。センサー、GPS、カメラ、駆けつけと並ぶと、どれが自分の家に合うのか判断がつきません。

介護保険上の正式名称は「認知症老人徘徊感知機器」です。本記事では、制度名や商品名を示す場合を除き、「ひとり歩き感知機器」「外出を知らせる機器」などと表記します(大府市「大府市では『徘徊(はいかい)』という言葉を使用しません」)。

この記事は、次の4つの順番で整理します。①介護保険・自治体の支援を確認する ②足りない内容を整理する ③不足部分だけ自費で補う ④対応地域・総額・解約条件を確認する。

私は福祉用具専門相談員として17年間、介護保険で貸与される見守り機器を案内してきました。一方、自費の見守りサービスは、業務で案内した経験がありません。そのため、自費部分は公的機関と各事業者の公開情報を基に整理し、現場で経験したことと、調べて分かったことを分けてお伝えします。
※この記事の執筆・確認:福祉グッズ探偵TOCHI

見守りを選ぶ順番。①介護保険・自治体の支援を確認する②足りない内容を整理する③不足部分だけ自費で補う④対応地域・総額・解約条件を確認する。

最初に決めるのは「いつ知りたいか」

道具を比べる前に、決めておくことがあります。見守りは、機器の種類からではなく「いつ知りたいか」から考えます。起き上がり、離床、玄関、外出後では、合う仕組みが変わります。

知りたいタイミングは、大きく4つに分かれます。

  • ① ベッドから起き上がった時……体を起こした段階で気づきたい場合
  • ② ベッドから降りて床に足がついた時……立ち上がって動き出した段階で気づきたい場合
  • ③ 玄関から外に出る前……出ていく前に気づきたい場合
  • ④ 外出した後の居場所を知りたい時……すでに外にいる状況で、どこにいるかを知りたい場合

この4つは、順番に進む段階ではありません。どの場面で気づきたいかによって、置く場所も、仕組みも変わります。①や②なら寝床のまわり、③なら玄関まわり、④なら屋外での位置の確認、という具合です。

①と②は近いようで、気づくまでの時間が違います。起き上がった段階で知らせるものは早く気づけますが、寝返りや座り直しでも反応することがあります。床に足がついた段階で知らせるものは、動き出したことがはっきりしてから伝わります。どちらが良いかではなく、早く知りたいのか、確実性を取りたいのかという選び方になります。

④だけは、性質が少し違います。①から③は家の中の決まった場所で気づく仕組みですが、④はすでに外にいる状況で居場所を知るものです。屋内で気づく仕組みと、屋外で位置を知る仕組みは別のものだと考えてください。両方を求める場合は、一つの道具でまとめようとせず、組み合わせで考えることになります。

私が介護保険の見守り機器を案内してきた範囲でも、ご相談は「いつ知りたいか」で分かれてきました。認知機能が低下し、夜間に歩き始めたことや玄関へ向かったことに家族が気づけない、外出後に道が分からなくなり帰宅できなくなる心配がある、といった相談で案内してきました。同じ「見守りたい」というご相談でも、気づきたい場面が違えば、お出しするものは変わります。

ですから、最初に家族で話し合うのは商品名ではありません。今いちばん気がかりなのはどの場面か。ここが決まると、次に見る範囲がぐっと狭くなります。

いつ知りたいですか。①ベッドから起き上がった時②ベッドから降りて床に足がついた時③玄関から外に出る前④外出した後の居場所を知りたい時。

介護保険で借りられる可能性がある範囲

場面が決まったら、まず制度の中を見ます。介護保険で借りられるのは、一定の要件を満たす感知・通知機器です。要介護度や本人の状態、使う目的によって扱いが変わるため、まず担当のケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談します。

介護保険の解釈通知では、この機器は「認知症である老人が徘徊し、屋外に出ようとした時又は屋内のある地点を通過した時に、センサーにより感知し、家族、隣人等へ通報するもの」と定められています(厚生労働省「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて」の一部改正について)。屋外に出ようとした時だけでなく、屋内のある地点を通過した時も含まれている点が、この定義の要です。

実際の機器には、床に敷いて体重がかかったことを感知するもの、赤外線や超音波で通過を感知するもの、ドア付近で開閉や通過を感知するものなどがあります。4つの場面のうち、①から③はこの範囲で対応できる場合があります。

GPSという機能名だけで、介護保険の給付対象かどうかは判断できません。機器全体が介護保険上の定義や本人の要件に該当するか、位置情報機能や通信料、アプリ、受信端末などがどのような扱いになるかを、利用前にケアマネジャーと福祉用具貸与事業者へ確認してください。

もうひとつ気をつけたいのが、使う目的です。定義に合わない用途では、給付の対象外になり得ます。自治体の案内でも、ベッドからの落下を防ぐ目的での使用、ひとり歩きのない方の見守り用途、体調を測るセンサーとしての使用などが、定義から外れる例として挙げられています(大和市「認知症老人徘徊感知機器の取り扱いについて」)。

要介護度による線引きもあります。要支援1・2、要介護1は原則として給付対象外です。ただし、本人の状態など一定の要件に該当する場合は、例外的に給付対象となることがあります。厚生労働省の告示では、この機器について「意思の伝達、介護を行う者への反応、記憶又は理解に支障がある者」「移動において全介助を必要としない者」のいずれにも該当する者、という要件が示されています(厚生労働省告示「厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等」)。

要件に当てはまるかの確認と申請は、担当のケアマネジャーを通じて進めます。ケアマネジャーがいない場合は、地域包括支援センターが窓口です。

あわせて確認したいのが、お住まいの自治体の支援です。自治体独自の緊急通報、GPS利用助成、訪問・配食を通じた見守りなどが設けられている場合があります。内容や対象条件は地域によって異なるため、自治体または地域包括支援センターへ確認します。

介護保険だけで足りない時の自費サービス

制度の中を見たうえで、それでも希望に届かない部分が残ることがあります。外出後の位置確認、定期連絡、カメラ確認、現地への駆けつけまで求める場合は、介護保険だけでは希望を満たせないことがあります。必要な部分だけ、自費サービスで補う考え方です。

自費の見守りサービスは、大きく5つの型に分けられます。ここでは、それぞれ何ができて、何が要るのかを並べます。どれが優れているという話ではなく、知りたい場面によって合うものが変わります。

① 定期的な連絡・安否確認
決まった時間に電話や訪問で様子を確かめ、結果を家族へ知らせる形です。機器を置かずに始められるのが特徴で、本人が受け答えできることが前提になります。「変わりがないことを定期的に知りたい」という場面に向きます。

② センサー・家電の利用状況で知らせる
人の動きや、電気ポットなどの家電が使われたかどうかを検知して、家族へ知らせる形です。本人の操作が要らないのが特徴で、宅内に機器を置き、通信環境が必要になることがあります。「本人に負担をかけずに、生活が動いているかを知りたい」という場面に向きます。

③ GPSによる位置確認
本人が身に着けたり持ち歩いたりする端末の位置を、家族が手元で確認する形です。屋外での居場所を知る用途に限られ、身に着けていることが前提になります。充電の手間も続けられるかを左右します。「外出した後にどこにいるかを知りたい」という場面に向きます。

④ カメラ
宅内の様子を映像で確認する形です。据え置き型のほか、動きを検知した時だけ通知するものもあります。通信環境が要り、設置場所によっては工事が必要になることもあります。映像は情報量が多いぶん、本人にどう説明するか、どこに置くかという話し合いが欠かせません。この点は次の章と、その次の章でも扱います。

⑤ 異常時の現地への駆けつけ
通知が出たときに、家族ではなく事業者の担当者が現地へ向かう形です。家族への通知だけのサービスとは別のものと考えてください。確認したいのは、対応できる地域に入っているか、駆けつけが月額に含まれるのか1回ごとの追加料金なのか、そして到着までにどのくらいかかるかです。

このほか、自治体や社会福祉協議会、地域の団体が行う見守りの仕組みもあります。ただし内容も対象も地域によって異なるため、全国どこでも同じものが使えるわけではありません。まずはお住まいの地域で何があるかを確認するところからになります。

人による見守りを検討している方へ

①の「定期的な連絡・安否確認」のように、電話や訪問で人に確認してもらう形を考える場合は、依頼できる内容だけでなく、料金総額・対応地域・キャンセル条件まで確認しておくと比較しやすくなります。

自費サービスの料金と選び方を確認する

介護保険で使える支援がないか、まずケアマネジャーにもご相談ください。

7つの判断軸で絞る

候補が見えてきたら、比べ方をそろえます。比べるのは、①何をいつ知りたいか、②本人の操作が必要か、③家族への通知か駆けつけまでか、④カメラを使えるか、⑤通信環境や工事が必要か、⑥初期費用と月額費用、⑦本人の同意とプライバシーの7点です。

1. 何を、いつ知りたいか

最初の章で決めた場面を、そのまま持ち込みます。起き上がりなのか、玄関なのか、外出後の居場所なのか。ここが定まっていないと、機能の多さで選ぶことになり、使わない機能まで抱えることになります。

2. 本人の操作が必要か

ボタンを押す、端末を持ち歩く、充電する。こうした操作が要るものは、本人の生活習慣と噛み合うかどうかで結果が変わります。

【選ぶときの確認ポイント】靴に装着するタイプは、普段よく履く靴に取り付けられるか、本人がその靴を継続して履けるかを確認します。

3. 家族への通知か、駆けつけまで必要か

通知が届いた後、誰が動くのかを決めておきます。家族が近くにいれば通知だけで足りますが、遠方であれば、通知を受け取っても対応できないことがあります。誰が現地へ行けるのかを先に確かめてください。

4. カメラを使えるか

映像で確認できるかどうかは、家族の希望だけでは決められません。本人が受け入れられるか、家の中のどこまでを映すのかを含めて考える必要があります。

5. 通信環境や工事が必要か

【TOCHIの現場で経験したこと】利用者さんのお宅にWi-Fiがなく、それが導入のハードルになることがありました。ご家族がスマートフォンを持っていても、宅内の通信環境は別の問題です。宅内で通信が要る仕組みを選ぶなら、別に契約が必要になる場合があります。

工事の要否も同じです。設置に工事が要るのか、置くだけで使えるのか。賃貸であれば、貸主の了解が要ることもあります。

6. 初期費用と月額費用はいくらか

機器の代金、初期の設置費用、毎月の利用料、通信費。これらを合わせた総額で比べます。月額だけを見比べても、実際に払う金額は分かりません。

7. 本人の同意とプライバシーを守れるか

何を、どこまで確認・記録するのか。本人が納得しているか。この点は次の章で詳しく扱います。

なお、同居と離れて暮らす場合では、見る場所が変わります。同居なら、室内の「出て行ってほしくないところ」で気づく仕組みが中心です。離れて暮らすなら、位置や状況を手元で確認する仕組みが要ります。ただし同居でも外出の場面はあるため、住まい方だけで決まるわけではありません。

本人への説明とプライバシー

最後に、道具の話から一度離れます。見守りは、家族の安心だけで決めるものではありません。何を、どこまで確認・記録するのかを本人の理解に合わせて説明し、本人やケアマネジャー等と相談して決めます。

なぜ説明が必要なのか。見守りの仕組みは、本人の生活を家族が離れた場所から知るためのものだからです。知られる側から見れば、自分の行動が誰かに伝わっているという状態が続くことになります。本人に伝えないまま始めると、後から気づいたときに、それまでの信頼が揺らぐことがあります。

話し合うときは、次のことを決めておくと進めやすくなります。誰が本人に伝えるのか。いつ伝えるのか。どこまで伝えるのか。全部を一度に伝えるのが難しければ、まず何のために置くのかから話すこともできます。

伝える人は、本人がいちばん話を受け取りやすい家族が向きます。きょうだいで意見が分かれている場合は、先に家族で方針をそろえてから伝えたほうが混乱しません。そして、本人が「これは嫌だ」と言った部分は、置かない選択も含めて考え直します。

カメラを検討する場合は、確認しておきたい点がいくつかあります。私はカメラを扱った経験がないため、選ぶ前に確かめておきたい論点として挙げます。家のどこに置けるのか。本人が見られていると感じないか。必要以上に記録が残らないか。映像を誰が見られるのか。これらは家族だけで決めきれるものではありません。

判断に迷うときは、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してください。本人の状態をふまえて、どこまでの見守りが要るのかを一緒に整理してもらえます。

まとめ|選ぶ順番

見守りは、商品を探すことから始めると迷います。順番は、①まず介護保険・自治体の支援を確認し、②それでも足りない内容を整理して、③不足部分だけを自費で補い、④対応地域・総額・解約条件を確認する、という流れです。

この順番で進めると、必要な機能がはっきりし、見積もりも比べられる形になります。何を知りたいのかが決まらないまま探しても、機能の多さで迷うだけです。まず、どの場面で気づきたいのかを家族で話すところからです。

むぎ
むぎカメラもGPSもあるって聞くと、全部つけたくなっちゃうワン。
探偵TOCHI
TOCHIその気持ちは分かるよ、むぎちゃん。でも見守りは、多く置くほど安心が増えるわけじゃないんだ。どの場面で気づきたいかが決まれば、必要なものは自然と絞られる。そして、その家で暮らしているご本人に、ちゃんと話してから決めることだね。
調査結果:見守りを選ぶ順番。機器の種類より先に「いつ知りたいか」を決める。介護保険で借りられるかは、まずケアマネジャーに相談する。足りない部分だけを自費サービスで補う。対応地域・総額・解約条件を同じ項目で確かめる。

出典(2026年8月12日確認)
厚生労働省「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて」の一部改正(平成28年 老高発0414第1号)
厚生労働省「通信機能を備えた福祉用具について」(介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会 第3回 資料3)……通信機能を備えた福祉用具の給付範囲について、整理内容が検討された経緯を確認できる資料
厚生労働省「令和7年度第3回介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会の議事録」……給付範囲の見直しが検討された経緯を確認できます
厚生労働省告示「厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等」(平成27年 告示第94号)
大和市「認知症老人徘徊感知機器の取り扱いについて」
大府市「「徘徊(はいかい)」という言葉を使用しません」

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