

階段の手すりの高さは、どこから測るのか。まずそこからお答えします。
私は福祉用具専門相談員として17年、福祉住環境コーディネーター2級の資格を持ち、手すりの相談を受けてきました。階段の手すりでは、住宅改修の工事と、お宅に行っての下見を扱っていました。店頭での販売はありません。

📋 この記事でわかること
✔ 国の指針が示す階段の手すりの高さと、どこから測るのか
✔ 直線の階段とまわり階段で、見るところがどう変わるか
✔ 両側か片側か、片側ならどちらに付けるかの考え方
✔ 壁の下地と、まわり階段の段差の角度の確かめ方
国土交通省の指針では、階段の手すりは踏面の先端から700〜900mmの位置とされています。ただし、これは誰にでも同じ高さを勧める数値ではありません。実際の取付位置は、階段の形、使う方の動作、設置する側、壁の下地を専門職や施工者と確かめて決めます。
階段の手すりの位置で迷ったら、退院前ならリハビリ職に、在宅であれば担当のケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談してください。

国の指針では、踏面の先端から700〜900mm
高齢の方が住む住宅をどう設計するかについて、国土交通省が指針を定めています。その中に、階段の手すりの要件があります。
基本となる水準として、次のように書かれています。
「少なくとも片側(勾配が45度を超える場合にあつては両側)に、かつ、踏面の先端からの高さが700mmから900mmの位置に設けられていること。ただし、ホームエレベーターが設けられている場合にあつては、この限りでない。」
ここで大事なのは、高さをどこから測るかです。指針が示しているのは「踏面の先端から」です。踏面の先端は、段鼻とも呼ばれます。段を踏む面のいちばん手前、角になっているところです。この記事では、以降も「踏面の先端から」と書きます。

階段は、一段ごとに床の高さが変わります。だからこそ、どこを起点にするかが決まっていないと、同じ「700mm」でも場所によって違う高さになってしまいます。指針はその起点を踏面の先端に置いています。

建築基準法は「付けること」までで、高さの数字はない
階段の手すりには、設置そのものを定めた決まりもあります。建築基準法施行令の、階段等の手すり等に関する条文です。
「第二十五条 階段には、手すりを設けなければならない。」
同じ条文の最後には、適用されない範囲も書かれています。
「前三項の規定は、高さ一メートル以下の階段の部分には、適用しない。」
この条文には、手すりの高さの数値はありません。「付けること」までを定めた決まりです。高さの目安は、先に挙げた国土交通省の指針のほうに書かれています。別々の資料なので、分けて読んでください。

最初に見るのは、直線の階段か、まわり階段か
ここからは、私がお宅で見ていたことです。
階段の手すりを見るとき、基本的にはまず、その階段が直線か、回っているような形かを見ていました。
📝 現場より
階段の手すりでは、基本的にはまず、直線の階段なのか、回っている階段なのかを見ていました。
そのほかに見ていたのは、上り下りの手すりをどうするか。両方に付けるか、片方に付けるか。付けるならどちら側か、です。

🟩 TOCHIの判断ポイント|階段で最初に見ること
まず見る:その階段が直線か、回っている形か。
なぜ:回っている階段なら、手すりを回して続けるときに、段差の角度も確かめることになるからです。
どうする:形を見たうえで、上り下りの手すりをどうするか、両方か片方か、付けるならどちら側かを考えます。

両側に付けるか、片側にするか
両方に付けるか、片方に付けるか。私が階段で見ていたことの一つです。
公的な資料では、どう書かれているか。先に挙げた国土交通省の指針では、基本となる水準で「少なくとも片側」とされています。そのうえで、括弧の中に条件が付いています。「勾配が45度を超える場合にあつては両側」です。

さらに、より望ましい水準として、次のようにも書かれています。
「両側(勾配が45度以下であり、かつ、ホームエレベーターが設けられている場合にあつては、少なくとも片側)に、かつ、踏面の先端からの高さが700mmから900mmの位置に設けられていること。」
広島県が出している住宅改修の資料にも、「手すりは両側設置がよいのですが」と書かれています。
ご自宅の階段がどちらにあたるかは、図面や現地を見ないと分かりません。角度を自分で測る必要はありません。下見に来る専門職や施工者に見てもらってください。

片側にするなら、下りるときにどちらの手で持つか
片側に付けることになったとき、どちら側にするか。ここで私が見ていたのは、上りではなく下りのほうでした。
📝 現場より
上りと下りでは、見ていたことが違います。私は下りを優先して見ていました。下りるときに、どちらの手で持つか、ということです。

この点について、公的な資料にも記述があります。広島県の住宅改修の資料には、「片側の場合は下る時の利き腕側です」と書かれています。
ただ、これをそのまますべての方に当てはめることはしません。この記述は、どちら側にするかを考えるときの材料の一つとして読んでください。
壁の下地と、まわり階段の段差の角度
付ける場所を決めるときに私が確かめていたのは、二つです。
一つは、下地の補強材が必要かどうか。もう一つは、階段を回すのであれば、階段の段差の角度です。

🟩 TOCHIの判断ポイント|付ける場所を決めるとき
まず見る:その壁に下地の補強材が必要かどうか。
なぜ:手すりは壁に固定するもので、下地がなければそのままでは付けられないからです。
どうする:階段を回して手すりを続けるのであれば、あわせて階段の段差の角度も確かめます。
📝 現場より
階段の手すりで、自分では決めずに、住宅改修の施工業者さんの大工さんに判断をお願いしたことがあります。
私が関わった中では、階段で手すりを付けられなかったことはありません。
高さの決め方そのものは、ほかの場所と同じ
ここまで階段のことを書いてきましたが、高さの決め方そのものは、ほかの場所と似ています。同じと言ってもいいと思います。
階段の手すりで、あとから「使いにくい」と言われたことはありません。

誰と、どうやって高さを決めるのか。その中身は、介護用の手すりはどこに付ける?の「高さは誰と決めるか」にまとめています。階段だけでなく、家全体の手すりに共通する話です。
介護保険を使うなら、工事の前に確認する
階段の手すりを工事で付ける場合、介護保険の住宅改修を使えるかどうかが気になると思います。
この記事では、使えるかどうかを断定しません。住宅改修は、原則として工事の前に市区町村への申請が必要です。順番としては、まず担当のケアマネジャーに相談し、市区町村へ確認してから、改修の範囲を決めてください。

先に工事を進めてしまうと、あとから手続きが取れないことがあります。相談の順番だけは、先に確かめておいてください。

まとめ
✅ まとめチェックリスト
✔ 直線の階段か、まわり階段かを見たか
✔ 両側に付けるか、片側にするかを決めたか
✔ 片側にするなら、下りるときにどちらの手で持つかを見たか
✔ 壁の下地の補強が必要かを、施工者に確かめたか
高さの決め方の中身は、介護用の手すりはどこに付ける?にまとめています。家全体で手すりを考えるときにご覧ください。



出典一覧
- 国土交通省「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」(平成13年国土交通省告示第1301号)(確認日:2026年10月16日)
- 建築基準法施行令 第二十五条(階段等の手すり等)/e-Gov法令検索(確認日:2026年10月16日)
- 広島県「高齢者のための住宅改修ポイント【ポイント2】」(確認日:2026年10月16日)
執筆・確認:福祉グッズ探偵TOCHI(福祉用具専門相談員/17年・福祉住環境コーディネーター2級)


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