「大人用おむつを買ったのに、漏れてしまう」——この記事は、これから買う方ではなく、すでに買って、漏れに困っている方に向けて書いています。訪問先のお宅で、合わないおむつが何種類も袋のまま残っている光景を、私は何度も見てきました。相談先が分からないまま、いろいろ試された結果です。
この記事は、商品を勧める記事ではありません。買い足す前に確認する順番を、店頭でお伝えしてきたとおりにまとめます。
※この記事の執筆・確認:福祉グッズ探偵TOCHI(福祉用具専門相談員として17年、おむつフィッター2級)
漏れたとき、大きいパッドへ替える前に
漏れが続くと、「パッドは大きい方がよく吸収して漏れないはず」と考えて、より大きい商品を買いに来られる方が多くいます。実際、パッケージには吸収量が大きく書かれていますから、漏れ=吸収が足りない、と結びつくのは自然なことです。ただ、漏れの原因は吸収量だけではありません。当て方や収まりが原因なら、大きい商品に替えても漏れは続きます。
漏れたら、吸収量を増やす前に、当て方とパッドの収まりを見直します。
なぜ先に見直すのか。大きいパッドや重ね使いに進むと、かえって漏れやすくなる流れがあるからです。漏れる→不安になって大きいパッドにする・重ねる→外側のおむつのギャザー内に収まりにくくなる→体との間に隙間ができる→さらに漏れる。この循環に入ると、買っても買っても漏れが止まらない、という状態になりがちです。
ただし、これは「大きいパッドが悪い」という話ではありません。循環には抜け道があります。当て方→収まり→フィット→吸収量の順に確認していくことです。この順番で見ていくと、吸収量を増やす前に直せる原因が見つかることが多く、増やす判断をする場合も、「どこは問題なかったか」を確かめたうえで選べます。
この記事では、この順番に沿って章を進めます。第2章でどこから・いつ漏れたかを見て、第3章でパッドの収まり、第4章で重ね使いと引き上げ、第5章で外側のおむつのフィットを確認し、吸収量の見直しは最後の第6章です。

まず、どこから・いつ・どんな姿勢で漏れたかを見る
見直しの最初の一歩は、商品を触ることではなく、漏れの様子を思い出すことです。
単品ではなく「組み合わせ」で見る
おむつの漏れは、外側のおむつ単品でも、尿とりパッド単品でもなく、「外側のおむつ×パッド×体×姿勢」の組み合わせで起きます。私が相談を受けるときも、商品名を聞く前に、何と何をどう組み合わせて、どんな場面で使っているかから確認します。単品を替えるより、組み合わせのどこにずれがあるかを見るほうが、確認の近道だからです。
🕵️ TOCHIの現場メモ
店頭に来られる相談の多くは、「これから買う人」ではなく「買ったが、うまくいっていない人」です。うまくいかないのは珍しいことではありません。確認する順番が分かれば、直せることがたくさんあります。
漏れた場所と姿勢から、確認先を絞る
次に、どこから・いつ・どんな姿勢で漏れたかを思い出します。背中側なのか、太もも周りなのか、前側なのか。漏れた位置によって、この後の章で重点的に見るところが変わります。
あわせて、生活の条件も見ます。寝て過ごす時間が長いのか、座って過ごす時間が長いのか。漏れるのは夜間か、日中か。同じ商品でも、姿勢と時間帯で尿の流れる方向や集まる場所が変わるためです。
ひとつ気を付けたいのは、漏れた場所だけで原因を断定しないことです。たとえば背中側の漏れでも、原因がパッドの収まりのこともあれば、外側のおむつのサイズのこともあります。場所と姿勢は、あくまで確認先を絞る手がかりとして使ってください。
また、漏れの様子を思い出すなかで、急に尿の回数や量が変わった、皮膚が赤くなっている、といった変化に気付くことがあります。排尿の変化には複数の原因があり得ることが、日本泌尿器科学会でも案内されています。
急な排泄状態の変化や皮膚トラブルがある場合は、製品の調整だけで済ませず、医療・看護職へ相談してください。
尿とりパッドが、外側のおむつのギャザー内に収まっているか
場所と姿勢を思い出したら、収まりの確認に進みます。私が漏れの相談を受けたとき、最初に確認してきたのが、尿とりパッドが外側のおむつの立体ギャザー内に収まっているかです。
尿とりパッドは、外側のおむつの立体ギャザーの内側に収め、先にセットしてから当てます。

図のように、パッドが外側のおむつの立体ギャザーの内側に立っている状態と、ギャザーを上から押さえてしまっている状態では、同じ商品でも働きが変わります。
パッドを先にセットしてから当てる
メーカー公式の手順でも、パッドは外側のおむつに先にセットしてから体に当てる流れで説明されています(花王リリーフ・当て方の手順)。大王製紙のアテントも、尿とりパッドの商品ページの使い方で「股間部のギャザーが内側に折れ込まないようにパッドをあてます」と案内しています。ここまでが公式の事実です。
そのうえで、販売現場での私の判断を添えます。後から差し込むと、パッドが外側のおむつの立体ギャザーを上から押さえ、内側に収まりにくいことがあります。介助の途中でパッドだけを交換するときに起こりやすく、漏れの相談で装着の様子を伺うと、この形になっていたことが何度もありました。
外側のおむつに収まるパッドか確認する
収まりは、パッドの幅や形状と、外側のおむつとの組み合わせでも変わります。ここで注意したいのは、「吸収量が多いパッド=収まらない」ではないことです。吸収量と幅・形状は別の話で、高吸収でも外側のおむつに合わせて収まる製品があります。見るのは吸収量の数字ではなく、いま使っている外側のおむつのギャザーの内側に、そのパッドが収まるかどうかです。
別メーカー同士でも組み合わせられますが、同じブランドでは立体ギャザー内に収まりやすいよう設計されている場合があります。パッドを変えるときは、パッケージの適合表示や公式サイトの組み合わせ案内も確認してみてください(花王リリーフ・選び方)。
収まりの状態は、装着したあとに外から見るだけでは分かりにくいものです。セットの段階で、ギャザーの内側にパッドの縁が入っているかを、目で確かめてください。
重ね使い・隙間・引き上げ不足を確認する
収まりを確認したら、次は枚数と履き方です。どちらも、今日から直せるところです。
尿とりパッドは1枚で使う
尿とりパッドを重ねても、吸収回数は足し算になりません。隙間ができて漏れやすくなるため、尿とりパッドは1枚で使います。
「2枚重ねれば2回分吸収できるのでは」と考えたくなりますが、公式の説明では逆です。尿とりパッドの裏面には防水シートがあり、上のパッドを通り抜けた尿は、下のパッドに吸収されずに、パッド同士の段差にできた隙間から外へ流れてしまいます。吸収回数は足し算にならず、隙間の分だけ漏れやすくなる——これが、花王やユニ・チャームがQ&Aで重ね使いをすすめない理由です。
隙間は、パッドとパッドの間だけでなく、パッドと体の間にもできます。重ねた厚みで外側のおむつの立体ギャザーが体から浮くと、ギャザーが本来の役目を果たせません。
私が装着の様子を見せていただいた範囲では、重ね使いは動きにも影響していました。股周りがぱんぱんに膨らみ、足が開き気味になって、歩きにくそうにされている方がいました。歩きやすさの面でも、パッドは1枚に絞る価値があります。
引き上げが足りないと、そこからずれる
リハビリパンツ(パンツタイプ)は、鼠径部——足の付け根のラインに沿わせて、上までしっかり引き上げます。引き上げが足りないと、股の位置が下がったまま過ごすことになり、パッドの位置も少しずつずれていきます。
きっちり履けていないと違和感が残り、そこからずれることがあります。装着の仕上げに、鼠径部に沿っているか、前と後ろの高さがそろっているかを確かめてください。
なお、パッドだけを交換するときも、外したあとに外側のおむつの立体ギャザーを立て直してから、新しいパッドをセットしてください。ギャザーが寝たままだと、第3章で確認した収まりが振り出しに戻ります。
外側のおむつが、交換する姿勢と体に合っているか
当て方と枚数を整えても漏れる場合は、外側のおむつそのものが、交換の姿勢と体に合っているかを確認します。ここは「どれを買い替えるか」ではなく、いま使っているものが合っているかの確認です。
交換する姿勢で見分ける
目安はこの2つです。トイレなどで排泄し、立位・座位で本人または介助者が上げ下げする使い方なら、パンツタイプ。ベッド上で横向きになって交換する時間が多いなら、テープタイプ。いま使っているタイプが、実際の交換の姿勢と合っているかを見てください。
交換の姿勢は、体の状態や介助の体制で変わっていきます。以前はトイレで交換できていたのに、今はベッド上での交換が増えている——そんなときは、商品ではなく、使い方の前提のほうが変わっています。
サイズは表示だけで判断しない
サイズ表示の見方は、パンツタイプはウエスト、テープタイプはヒップの寸法で確認するのが公式の案内です(花王リリーフQ&A)。まず、この表示と実際の寸法を照らし合わせます。
そのうえで、表示サイズの範囲に入っていても、太ももやお腹周りに隙間がないか、実際の装着状態を見てください。同じウエスト寸法でも、太ももの細さやお腹の張りで、隙間のでき方は人によって違います。
隙間の確認は、寝た姿勢と座った姿勢の両方で見るのが確実です。姿勢が変わると、お腹周りの張りも、脚の付け根の形も変わるからです。
🟩 TOCHIの判断ポイント①|外側のおむつのフィットの見方
まず見る:太もも・お腹周りの隙間と、装着したときの厚み・締め付け・動きやすさ
なぜ:説明する側の感覚だけで判断しないため、私自身も装着し、排尿後の感覚まで確認してきたから
どうする:ご家族も無理のない範囲で、新品を一度装着してみると、締め付けや厚みを想像しやすい
それでも漏れるときに、吸収量と組み合わせを見直す
ここまでの確認——当て方、収まり、枚数と履き方、外側のおむつのフィット——をすべて見たうえで、それでも漏れるときに、はじめて吸収量の見直しに進みます。
吸収量を増やすのは、当て方・フィット・組み合わせを確認した後です。
見直すときは、漏れる時間帯に絞って変えるのが基本です。夜間だけ漏れるなら、夜だけ吸収回数の多いパッドにする。日中は今のままにする。全部を一度に替えると、何が効いたのか分からなくなるためです。ユニ・チャームのQ&Aでも、漏れの原因は「吸収量が足りない場合」と「隙間がある場合」に分けて説明されており、対策はそれぞれ異なります。
吸収量を上げるときも、第3章で見た収まりの確認はそのまま生きています。高吸収のパッドに替える場合も、外側のおむつのギャザー内に収まる幅・形状かを見てから選んでください。
また、本人の状態や介助環境に合えば、日中はトイレやポータブルトイレで排泄し、夜間だけおむつにするという進め方もあります。おむつだけで解決しようとせず、排泄の方法そのものを組み合わせる考え方です。ポータブルトイレの選び方はポータブルトイレの選び方|置く場所・移り方・片付ける人から考えるにまとめています。
まとめ|買い足す前に、確認する順番を
最後に、確認する順番だけをもう一度並べます。①どこから・いつ・どんな姿勢で漏れたかを思い出す ②尿とりパッドが外側のおむつの立体ギャザー内に収まっているかを見る ③パッドは1枚に絞り、鼠径部に沿わせて引き上げる ④外側のおむつが交換の姿勢と体に合っているかを見る ⑤それでも漏れるなら、時間帯を絞って吸収量を見直す。
この順番で見ていけば、買い足す前に直せる原因はかなり絞り込めます。そして、急な変化や皮膚のトラブルがあるときは、第2章で書いたとおり、製品の調整ではなく、医療・看護職への相談が先です。



出典(2026年8月5日確認)
・花王 リリーフ 大人用おむつに関するQ&A
・花王 リリーフ 大人用おむつ選びのポイント
・花王 リリーフ 大人用おむつの当て方・交換方法
・ユニ・チャーム ライフリー 排泄ケア・介護のトラブルQ&A
・日本泌尿器科学会 尿が近い、尿の回数が多い~頻尿~
・大王製紙 アテント 尿とりパッド スーパー吸収 女性用(商品ページ内の使い方より)

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