

私は福祉用具専門相談員として17年、福祉用具の相談を受けてきました。
店頭では「公道を走れるか」はよく聞かれましたが、「電車に乗れるか」と聞かれたことはありませんでした。

鉄道会社の決まりは、店頭の経験だけでは分かりません。この記事の電車の話は、国と鉄道会社の公式の案内を調べて書いています。
📋 この記事でわかること
✔ 2018年に緩和された、シニアカーで鉄道を利用するときの条件
✔ 乗れる列車と使える駅を、鉄道5社の案内で比べた結果
✔ 乗る前に、鉄道会社の案内で確かめること
✔ 私の店で、レンタルの前にしていた試乗

2018年に、シニアカーで鉄道を利用する要件が緩和された
2018年(平成30年)4月1日から、シニアカー(ハンドル形電動車いす)で鉄道を利用するときの条件が、大きく緩和されました。
利用する人についての条件(人的要件)は、なくなりました。

通勤型の車両(デッキなし)では、シニアカーの構造についての条件はありません。
新幹線を含む特急型の車両(デッキ付き)では、全長1,200mm以下・全幅700mm以下であることと、決められた回転性能があることが条件です。

駅は、原則として、エレベーターやスロープなどで段差が解消された駅で利用できます。ただし、駅の構造や工事中などの状況で利用できない場合もあります。
国土交通省は、実際の取扱いは鉄道会社ごとに異なる場合があるので、利用する鉄道会社に問い合わせるよう案内しています。
この記事では、次の順番で確かめていきます。

まず、自分のシニアカーの大きさと回転性能を確かめる
新幹線や特急のようなデッキ付きの車両では、前の章で見た大きさと回転性能が条件になります。
シートの下に貼られた「星数表示シール」または「回転性能表示シール」で、回転性能の星か丸が3つついていれば、客室内の車いすスペースや多目的室を利用しやすいと案内されています。
新幹線を含む特急型の車両(デッキ付き)では、シールが貼られていなくても、大きさと回転性能が条件を満たしていれば、客室内の車いすスペースを利用できます。条件を満たさない場合でも、多目的室やデッキなどを利用できる場合があるので、利用する鉄道会社に確認してください。

すでに使っているシニアカーに、あとからシールを貼れる場合もあります。貼れるかどうかは、メーカーや代理店に問い合わせてください。
調べた5社とも、大きさとして長さ・高さ120cm、幅70cmを示していました(「以内」「以下」と書く会社と、「程度」と書く会社があります)。
自分のシニアカーの大きさや回転性能が分からないときは、販売店やメーカーに確かめてください。
乗れる列車:通勤型の電車と、新幹線・特急の違い
新幹線や、デッキ付きの特急で利用できるのは、各社が挙げている決まった車両だけでした。JR3社とも、多目的室を利用する形で案内しています。
在来線でも、JR東海はデッキとステップのない車両に、JR西日本はホームから客室へ直接乗り降りできる普通列車に限っています。

調べた5社の案内を並べると、次のとおりです。
| 会社 | 在来線(デッキなし)の条件 | 新幹線・デッキ付き特急 | 使える駅 |
|---|---|---|---|
| JR東日本 | 専用の条件は確認できず | 決まった車両の多目的室 | 一覧は確認できず |
| JR東海 | デッキ・ステップのない車両に限る | 決まった車両の多目的室 | 一覧の駅どうし(乗換駅も) |
| JR西日本 | ホームから客室へ直接乗り降りできる普通列車に限る | 決まった車両の多目的室 | 一覧の駅どうし(乗換駅も) |
| 東急 | 専用の条件は確認できず | ―(新幹線なし) | 駅ごとの表あり |
| 東京メトロ | 専用の条件は確認できず | ―(新幹線なし) | 直通先の駅は確かめる |
2026年10月1日時点・各社の公式ページで確認

使える駅:段差・エレベーター・駅の一覧を見る
駅については、前の章で見たとおり、国は段差が解消された駅での利用を原則としています。
JR東海とJR西日本は、利用できる駅を一覧で示し、その駅どうしの間で利用するよう案内しています。乗り換える駅も一覧に入っている必要があります。
小さいエレベーターや、直角に出入りするエレベーターの駅では、機種によって利用できないことがあります。

東急と東京メトロは、直通運転をしている他社の線の駅では、駅の構造上利用できないことがあるとして、乗り継ぐ先の条件も確かめるよう案内しています。
乗る前に鉄道会社の案内で確かめること
ここでは、駅の中での走り方や、介助の方、事前の連絡などについての各社の案内をまとめます。
駅の中では、5社とも時速2km以下(約2km以下)の低速で走るよう求めています。
駅の中の移動はご本人がシニアカーを操作して行う、とJR3社は案内しています。お手洗いなどが一人で難しい場合は、介助の方の同伴を求めている会社もあります(JR東海・JR西日本・東急)。
JR東海は事前の連絡を、東急は駅によって事前の連絡を求めています。

混雑しているときなどは、利用できない場合や、利用を控えるよう求める場合があると、4社(JR東海・JR西日本・東急・東京メトロ)が案内しています。
重さの上限を書いていたのは、5社のうち東急だけでした(使う人と荷物を含めた総重量300kg以内)。
鉄道会社に問い合わせるときは、次のことを手元にまとめておくと伝えやすくなります。
- シニアカーのメーカー名と機種名
- 大きさ(長さ・幅・高さ)と、シールが貼られているか
- 乗る駅・降りる駅・乗り換える駅
- 乗りたい列車(在来線か、新幹線・特急か)と日時
- 介助の方が一緒か
5社とも、シニアカーが原因の事故などは利用者の責任で対応するよう案内しています。
「電車に迷惑ですか?」と気になったら

「電車に迷惑では」と気にされる方もいます。国は、条件つきでシニアカーの鉄道利用を認めています。そのうえで、混雑しているときなどは利用できない場合があると案内している鉄道会社もあるので、利用する鉄道会社と駅の案内を確認してください。
私の店で、レンタルの前にしていた試乗
私の店では、シニアカーはレンタルで扱ったことがあります。販売したことはありません。扱った数は、歩行器や車いすに比べると少ないです。
私の店では、シニアカーをレンタルする前に、必ずご本人に試乗してもらっていました。

📝 現場より
試乗は、メーカーの方と一緒に行います。いつも行っている場所、これから行く予定の場所、毎回使う場所を聞いて、そこまで実際にシニアカーで行ってもらいます。危ない箇所がないか、乗り方が危なくないか、ブレーキをきちんとかけられるか、周りがよく見えているかを確かめて、良ければレンタルに進めていました。
電車を使う予定があるなら、その駅までの道と、駅のエレベーターのことも、レンタル事業者やメーカーに相談してみてください。
シニアカー(電動カート)を選ぶときに、実車と使う経路まで確かめることは、車いすの選び方でも書いています。
シニアカーの基本:道路では歩行者・免許は要らない

シニアカーは、道路交通法上は歩行者として扱われます。時速6kmを超える速度は出せないつくりです。
運転免許は要りません。
ここでの「歩行者」や時速6kmは、道路を通るときの決まりです。電車を利用するときの条件は、ここまでに見た国と鉄道会社の案内で別に決められています。
介護保険で借りている場合(補足)
介護保険でシニアカーを借りられるかは、要介護度などによって変わります。担当のケアマネジャーに相談してください。

まとめ
| 順番 | 確かめること |
|---|---|
| ① | シニアカーの大きさと回転性能(シール)を、販売店やメーカーで確かめる |
| ② | 乗りたい列車が、シニアカーで利用できる車両か確かめる |
| ③ | 乗る駅・降りる駅・乗り換える駅が、利用できる駅か確かめる |
| ④ | 利用する鉄道会社の案内を確かめる(事前の連絡を求めている会社には連絡する) |

出典一覧
- 国土交通省「ハンドル形電動車椅子で鉄道を利用する際の要件を大幅に緩和します~4月1日より運用を開始~」(確認日:2026年10月1日)
- 国土交通省「ハンドル形電動車椅子を使用した鉄道利用について」(確認日:2026年10月1日)
- 国土交通省「星数表示シールと回転性能表示シールについて」(PDF)(確認日:2026年10月1日)
- JR東日本「車いすをご利用のお客さまへ」(確認日:2026年10月1日)
- JR東海「ハンドル形電動車いすをご使用のお客様へ」(確認日:2026年10月1日)
- JR西日本(JRおでかけネット)「ハンドル形電動車いすをご利用のお客様」(確認日:2026年10月1日)
- JR西日本(JRおでかけネット)「ハンドル形電動車いすご利用可能駅一覧」(確認日:2026年10月1日)
- 東急電鉄「ハンドル形電動車いすをご利用のお客さま」(確認日:2026年10月1日)
- 東京メトロ「東京メトロからのお願い」(確認日:2026年10月1日)
- 警察庁「電動車いすの安全利用について」(確認日:2026年10月1日)
- 消費者安全調査委員会(消費者庁)「ハンドル形電動車椅子を使用中の事故に係る事故等原因調査について(経過報告)」(PDF)(確認日:2026年10月1日)
- 厚生労働省「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」(PDF)(確認日:2026年10月1日)
執筆・確認:福祉グッズ探偵TOCHI(福祉用具専門相談員/17年)


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