


車椅子でバスや電車に乗るとき、何をしておけばいいのか。ご本人やご家族から、そういうご相談を受けてきました。
この記事は、車いすをこれから選ぶ方ではなく、すでに手元にある車いすで、これから付き添って出かける方に向けて書いています。
📋 この記事でわかること
✔ 乗る前に、まず確かめておく3つのこと
✔ バスで、利用する事業者に確認しておくことと、当日の流れ(今回確認した5社の案内)
✔ 電車で、駅に伝えること(鉄道会社の案内)と、JR東海・JR東日本の案内にある付き添う人の役割
✔ 利用する会社から確認される車いすの情報に、答えられるようにしておく(JR西日本の案内では電動・手動)

執筆・確認:福祉グッズ探偵TOCHI(福祉用具専門相談員/17年・福祉住環境コーディネーター2級)
乗る前に、まず確かめておく3つのこと

📝 現場より
車いすで外出する場面のご相談は、店頭でも、お宅に伺ったときも、ケアマネジャーさんからも受けてきました。福祉用具専門相談員としてです。ご本人が同席されていたこともありますし、ご家族だけのこともありました。
ご相談を受けたときに私が確かめていたことを思い出すと、ご本人だけで乗るのかどうか、乗るとしたらどのようにして乗るつもりでいるのか、でした。乗るバス停や電車が決まっているなら、そこに相談したほうがいいのでは、という確認もしていたと思います。

乗る前に確かめておくことを、3つに分けて考えます。
- 本人だけで乗るのか、付き添う人がいるのか
- バス・電車へ、どのように乗るつもりか
- 利用する事業者・バス停・駅へ、何を確認するか
この3つを整理しておくと、利用する会社へ連絡するときに、何を伝え、何を確認すればよいかが見えやすくなります。

🟩 TOCHIの判断ポイント|乗る前に確かめること
まず見る:ご本人だけで乗るのか、付き添う人がいるのか。
なぜ:どちらかによって、事業者に伝える中身が変わるからです。
どうする:乗る予定の事業者・バス停・駅に、何を伝えればよいかを確認します。

ここまでは、私が相談を受けたときに確かめていたことです。利用のしかたは事業者・停留所・車両によって違うため、ここからは今回確認した会社の案内を見ていきます。
バス:乗る前に、利用する事業者へ確かめること
バス会社の案内を見ると、事前連絡の要否や、利用できない停留所・便・車両についての記載が会社ごとに異なります。
ですので、利用予定の事業者に、事前連絡の要否、停留所・便・車両の対応を確認するところから始めてください。

事前の連絡を案内している例(豊鉄バスの案内)
たとえば豊鉄バスの案内には、次のように書かれています。
「1.各営業所へ事前にご連絡をお願いします ※ご予約ではございません」
「お客様が安心してご利用いただけるよう、事前に「ご乗車バス停、時間等」をお伝えください。」

バス停によって事情が違うことにも、理由が書かれています。
「歩道スペースや勾配等の事情により、スロープを利用できないバス停がございますので、車椅子でのご乗車の際は、あらかじめ営業所へお電話いただきますと、より安心してご利用いただけます。」
これは豊鉄バスの案内です。ほかの会社が同じように案内しているとは限りません。利用する会社の案内を確かめてください。
乗れないことがある場合(会社ごとの案内)
どの場合に乗れないことがあるかも、会社ごとに書き方が違います。今回確認した案内では、次のようになっていました。

小田急バスの案内では、「なお、次のような場合にはご乗車いただけないことがございます。」として、次の3つが挙げられています。
- 固定できない形状の車いすの場合。
- 転倒や車いすからの転落の恐れがある場合。
- 車いすまたは2人乗りのベビーカーご利用のお客さまが既に乗車しており、車いす対応スペースが空いていない場合
横浜市交通局の案内では、「次のような場合には、安全が確保できないためご利用いただけません。」として、次の3つが挙げられています。
- 車いすまたは2人乗りベビーカーが既に2台乗車している場合(車種により1台までの場合もあります。)
- 車内が混雑している場合
- 固定できない形状の車いすの場合

静鉄バスの案内では、次のように書かれています。
- 車いすの固定に適合しない車いすの場合、ご乗車をお断りする場合がございますので予めご了承ください。
- 既に車いすスペースをお使いのお客さまがいらっしゃる場合や、車内が混雑している場合など、乗車スペースが確保できない時はご利用いただけない場合がございますので予めご了承ください。
豊鉄バスの案内では、次のように書かれています。
- なお、車椅子固定ベルトにて固定ができない場合は、安全確保ができないためご乗車いただけません。
- 既に車椅子スペースをご利用のお客様がいらっしゃる場合や、車内が混雑している場合など、乗車スペースが確保できない時はご利用いただけない場合がございます。
- 高速乗合バス、一部の臨時バスなどは車椅子ではご乗車いただけませんので、ご了承ください。

静鉄バスの案内では、路線バス以外についても書かれています。
「なお、高速バス、空港バス、契約輸送バスなどにおいては、車いすではご乗車いただくことができませんので、悪しからずご了承ください。」
同じ「乗れないことがある場合」でも、会社によって挙げている項目が違います。だからこそ、利用する会社の案内を見ることになります。
バス:当日の乗り方(今回確認した5社の案内)
今回確認した5社の案内では、スロープを用意するのも、車いすを固定するのも、乗務員(運転士)です。

乗る旨を伝える(横浜市交通局の案内)
「前扉付近でお待ちいただき、ご乗車される旨を乗務員にお伝えください。」
スロープを用意する・固定する(神戸市交通局の案内)
「① 他のお客様の乗降が終わったのち、運転士がスロープを用意します。」
「③車いすのブレーキをかけていただくと、運転士がお客様の安全を確保するため、固定ベルトと車止めで車いすを固定します。」

固定する(静鉄バスの案内)
「乗車中、車いすが動かないよう、運転士が専用器具で固定させていただきます。」
降りる停留所を伝える(小田急バスの案内)
「乗車時に乗務員に降車停留所名をお知らせください。」
今回取り上げた案内では、乗る旨や降車停留所を伝えること、車いすのブレーキをかけることが案内されていました。
なお、乗合バスの車両については、国の省令に「乗合バス車両には、次に掲げる基準に適合する車椅子スペースを一以上設けなければならない。」と定められ、その基準の一つとして「車椅子を固定することができる設備が備えられていること。」が挙げられています。車両の設備についての定めです。

電車:駅へ伝えること
電車も、連絡のしかたや時期についての案内は、鉄道会社ごとに違います。利用する会社の案内を確かめてください。今回確認した案内では、次のようになっていました。
あらかじめ連絡する(JR東海の案内)
「駅におけるご案内および列車乗降のお手伝いが必要な場合がございますので、あらかじめご連絡いただきますようお願いします。ご旅行がお決まり次第のご連絡をお待ちしています。」

申し込みで伝える項目(JR西日本の案内)
JR西日本の案内では、電話での申し込み時に主にお伺いする内容として、次が挙げられています。
- 乗車日
- 乗車区間
- 乗車列車(列車名・出発時刻)
- 座席(指定席の希望有無)
- 付き添いの有無
- 車いすの有無(電動・手動)
- 同行する人数
- きっぷのお受け取り(乗車当日・その他)
- その他(ご連絡先・お帰りのご要望など)

この項目はJR西日本の案内のものです。ほかの会社が同じ項目を聞くとは限りません。ただ、何を聞かれるかが先に分かっていると、連絡するときに迷いにくくなります。
📝 現場より
「駅員に言って乗せてもらう方法がある」と、ご案内していました。
車いすの大きさと事前の連絡(JR東日本の案内)
JR東日本の案内では、利用できる車いすの大きさとして「長さ・高さが120センチメートル、幅が70センチメートル以内」と書かれています。連絡については、次のように書かれています。
「スムーズにご利用いただくために関係箇所との調整が必要な場合がありますので、事前の連絡にご協力をお願い致します。」

事前受付サービス(東急の案内)
「乗降時に介助をご希望のお客さま向けにスムーズなご案内をすることを目的に「事前受付サービス」を行っています。」
東急の案内には「※世田谷線、こどもの国線を除く」という注記も付いています。

余裕をもって駅へ(JR東海・東京メトロの案内)
JR東海の案内には、次のように書かれています。
「なお、混雑時や運輸上支障がある場合、また取扱時間帯等によってはお待ちいただく場合がございますので、予めご承知おきください。」
「ご乗車にあたっては余裕をもってお早めに駅にお越しくださいますようお願いします。」
東京メトロの案内にも、「ご案内に時間がかかる場合があります。ご利用にあたっては、十分な余裕を持って駅にお越しください。」と書かれています。


電車:JR東海・JR東日本の案内にある付き添う人の役割
付き添う人について、JR東海の案内では、次のように書かれています。
「化粧室のご利用や列車内での移動がおひとりでできないお客様には、介助の方がご同伴いただきますようお願いいたします。」
「介助の方には、駅・列車内の介護や援助および緊急時の誘導等をお願いいたします。」

JR東日本の案内にも、同じ趣旨の記載があります。
「駅・列車内で化粧室のご利用などの介助が必要なお客さまには、介助の方がご同伴いただきますようにお願いします。介助の方には、駅・列車内での介護や援助および緊急時の誘導などをお願いすることがございます。」
今回確認したJR西日本・東急・東京メトロの該当ページでは、同じ趣旨の記載を確認できませんでした。
また、さきほどのJR西日本の申し込み項目にも「付き添いの有無」が入っていました。JR西日本への申し込みでは、付き添う人がいるかどうかも、伝える項目の一つです。

車いすについて聞かれることに答えられるように
ここで車いすを選び直す必要はありません。事業者から確認される車いすの情報は、会社によって異なります。
JR西日本の申し込み項目には、「車いすの有無(電動・手動)」が入っています。手元の車いすについて、聞かれたことに答えられるようにしておきます。
📝 現場より
自走用はご本人が自分で漕ぐもの、介助用は押してもらうものとして、違いを説明していました。バスや電車の相談でも、聞かれたときには両方についてお答えしていました。
種類の違いそのものは、車いすの選び方|種類の違いと介護保険レンタル・購入の判断の「車いすの種類|誰が動かすか・どこで使うか」にまとめています。

まとめ
✅ まとめチェックリスト
✔ ご本人だけで乗るのか、付き添う人がいるのかを決めたか
✔ 利用する事業者に、事前連絡の要否・停留所・便・車両の対応を確認したか
✔ 電車は、利用する鉄道会社の案内を見て、伝える項目をそろえたか(JR西日本の案内では、乗車日・区間・列車・付き添いの有無など)
✔ 利用する会社から確認される車いすの情報を答えられるようにしたか(JR西日本の案内では電動・手動)

この記事を読んで、安心して電車やバスに乗っていただけたらと思っています。


出典一覧
- 小田急バス「路線バス利用時のベビーカー・車椅子について」(確認日:2026年10月26日)
- 静鉄バス「車いすご利用のお客様へ」(確認日:2026年10月26日)
- 神戸市交通局「車いすをご利用のお客様へ」(確認日:2026年10月26日)
- 豊鉄バス「車いす利用のご案内」(確認日:2026年10月26日)
- 横浜市交通局「車いすでの乗車方法」(確認日:2026年10月26日)
- JR東海「歩行の不自由なお客様へ」(確認日:2026年10月26日)
- JR西日本「乗降のお手伝いについて」(確認日:2026年10月26日)
- JR東日本「車いすをご利用のお客さまへ」(確認日:2026年10月26日)
- 東急電鉄「バリアフリー」(確認日:2026年10月26日)
- 東京メトロ「車いすの安全なご利用のために」(確認日:2026年10月26日)
- 移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備並びに旅客施設及び車両等を使用した役務の提供の方法に関する基準を定める省令/e-Gov法令検索(確認日:2026年10月26日)
執筆・確認:福祉グッズ探偵TOCHI(福祉用具専門相談員/17年・福祉住環境コーディネーター2級)

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