入所やデイサービスの準備で、施設から「上履きを持ってきてください」と言われて、ふと手が止まったご家族は多いと思います。「上履きって、学校で履いたあれ?」「どこで売ってるの?」——いざ探そうとすると、意外と迷うんですよね。
先にお伝えしておくと、施設で言う「上履き」は、学校のバレーシューズとは少し違います。介護の現場では「室内履き(室内用シューズ)」と考えると、ぐっと選びやすくなります。


この記事では、福祉用具の現場で17年お手伝いしてきた経験から、施設に確認すべきポイントと、迷いにくい室内履きの選び方を整理してお伝えします。難しい話ではなく、「施設での生活を安全に、気持ちよく過ごすための準備」のお話です。どうぞ気楽に読んでみてください。
🔎 まず結論:買う前に施設へ確認+3つの目安で選ぶ
①施設に確認:上履きは必要か/かかと付き指定か/室内専用か外履き兼用か
②選ぶ目安:着脱しやすいマジックテープ式/滑り止めソール/足の甲をほどよく保持
③活動量で:車椅子中心はやわらかいルームシューズ/歩行が多いなら安定感のある室内用介護シューズ
施設から「上履き」と言われたら。まずは確認すべき3つのポイント
いきなり買いに行く前に、まず施設に確認しておくと失敗が減ります。施設によって考え方がさまざまなので、ここを押さえるだけで「買い直し」を防げます。

上履きの持参は必須か(裸足・靴下で過ごす施設との違い)
実は、すべての施設で上履きが必要なわけではありません。フロアの素材や方針によっては、靴下や滑り止め付きソックスで過ごすところもあります。まずは「本当に上履きが要るのか」「どんな場面で履くのか」を確認しておきましょう。
かかと付きの指定はあるか(安全の観点)
施設によっては、かかとのある形(後ろが覆われた靴型)を指定されることがあります。かかとがあると足が安定しやすく、歩くときや立ち座りのときに足元がぐらつきにくいためです。逆に、かかとを踏んで履けるタイプを避けるよう案内する施設もあります。指定の有無を聞いておくと安心です。
室内専用か、外履き兼用か(衛生面)
「室内専用にしてください」という施設もあれば、「送迎の乗り降りもあるので兼用でよい」という施設もあります。衛生面の考え方は施設ごとに違うので、ここも確認ポイントです。
🔍 TOCHIの現場メモ①:施設の指定は、思っているより多様です
現場にいると、「上履き」の中身が施設ごとにまったく違うことに驚きます。あるデイでは「かかと付き・マジックテープ式・室内専用」と細かく指定があり、別の施設では「滑らなければ何でもどうぞ」とおおらか。ご家族が良かれと思って用意したものが、施設の方針と合わずに使えなかった、というのもときどき見かけます。だからこそ、買う前のひと言確認が、いちばんの近道なんです。
現場のプロが教える!室内履き選び「迷いにくい」3つの条件
施設に確認できたら、次は具体的な選び方です。迷ったときは、次の3つの条件を目安にすると選びやすくなります。

着脱がしやすいマジックテープ式
室内履きは、一日に何度も脱ぎ履きします。マジックテープ(面ファスナー)式なら、ご本人も職員さんも調整がしやすく、むくみで変化する足にも合わせやすいです。ひもタイプはほどける手間があるので、室内ではマジックテープが扱いやすいことが多いです。
床との相性を考えた滑り止めソール
施設の床は、フローリング・ビニル床・カーペットなどさまざまです。滑り止めのついたソールだと足元が安定しやすく、安心して過ごしやすくなります。逆に、底がツルツルした素材は床によっては滑りやすいので、底面の作りも見ておきたいポイントです。
足の甲をしっかり保持できること
足の甲をベルトなどでほどよく固定できると、歩くときに足が中で泳ぎにくく、安定しやすくなります。ぶかぶか・きつすぎのどちらも避け、甲が支えられているかを見てあげてください。
🔍 TOCHIの現場メモ②:「学校の上履き」を買ってきてしまうケース
「上履き」と聞いて、学校のバレーシューズ型(白い布の上履き)を買ってこられるご家族が、実は少なくありません。決して間違いではないのですが、介護現場で求められる室内履きは、着脱のしやすさや甲の保持、滑り止めなど、ねらいが少し違います。「学校のものと同じでいいのかな?」と迷ったら、その場で施設に写真を見せて確認すると、行き違いが防げます。
室内履きにはどんなタイプがある?特徴を整理
室内履きと一口に言っても、いくつかタイプがあります。それぞれの特徴を、フラットに整理します。

かかと付きルームシューズ(柔らかい・着脱が容易)
布やニット素材で、やわらかく軽いタイプです。かかとが付いていて、着脱もしやすいのが特長。足あたりがやさしく、室内でゆったり過ごす方に向いています。素材がやわらかい分、保持力は控えめなものもあるので、活動量に合わせて選びます。
🛒 Amazonで「かかと付きルームシューズ」を見る室内用介護シューズ(安定感・マジックテープで調節可能)
介護シューズの室内向けタイプです。マジックテープで甲を調節でき、滑り止めソールで安定感があるのが特長。歩く機会が多い方や、しっかり支えたい方に向いています。外履きと似た作りで、足元が安定しやすいタイプです。
🛒 Amazonで「室内用介護シューズ」を探す【番外編】スリッパや普通の靴について
「手持ちのスリッパではダメ?」というご質問もよくいただきます。スリッパは手軽ですが、かかとがなく脱げやすいため、施設によっては避けるよう案内されることがあります。とはいえ、これも施設の方針次第です。普通の靴(外履き)も、衛生面から室内では分けるよう求められる場合があります。どちらも「ダメ」と決めつけず、まずは施設の考え方を確認するのが確実です。
📋 室内履きタイプ別 早見表
① かかと付きルームシューズ
向いている人:室内中心/軽さを重視/着脱のしやすさを優先
注意:歩く量が多い場合は安定感を確認する
② 室内用介護シューズ
向いている人:施設内で歩く時間がある/甲をしっかり固定したい/マジックテープで調整したい
注意:サイズ・ワイズ(足囲)の確認が必要
③ スリッパ・普通の靴
向いている人:原則おすすめしません。施設が許可している場合のみ検討
注意:脱げやすさや床との相性をしっかり確認する
ご家庭に合った室内履きを選ぶための考え方
タイプが分かったら、ご本人の状態に合わせて選びます。
本人の活動量に合わせる(車椅子中心か、歩行が自立しているか)
車椅子を使う時間が長い方は、着脱のしやすさや足あたりのやさしさを重視したルームシューズ寄りの選び方が合いやすいです。一方、ご自分で歩く機会が多い方は、安定感や保持力のある室内用介護シューズが向いています。「どれくらい歩くか」を基準にすると選びやすくなります。
洗い替えを考慮した準備の考え方
室内履きも、汚れたり汗を吸ったりします。洗うタイミングや乾く時間を考えると、準備の仕方が見えてきます。何足そろえるとよいかは、生活ペースによって変わります。
室内履きを選んだ後に家族ができる準備
最後に、買ったあとのひと手間です。これをしておくと、施設での生活がぐっとスムーズになります。
サイズ感の最終チェック(靴下の二重履き等)
施設では、転倒しにくいよう滑り止め付きソックスを履いたり、季節によって靴下を二重にしたりすることがあります。実際に履く靴下の状態でサイズを確かめておくと、「きつくて入らない」を防げます。少しだけ余裕を見ておくと安心です。
紛失を防ぐための「名前書き」のコツ
施設では似た室内履きが並ぶので、名前を分かりやすく書いておくことが大切です。書く場所や、にじみにくい書き方には少しコツがあります。
施設から「かかと付きで」「室内専用で」と指定された場合は、まず介護用の室内履き・上履きから探すと選びやすいです。
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まとめ:施設との「確認」が、親御さんの安心な施設生活の第一歩
「上履きを持ってきて」と言われたら、あわてて買いに走る前に、まずは施設に確認——これがいちばんの近道です。
①施設に確認:上履きは本当に必要か/どんな場面で履くか
②指定の確認:かかと付き・室内専用などの指定はあるか
③選ぶ目安:着脱のしやすさ・滑り止め・甲の保持
④買った後:サイズの最終チェックと名前書き
施設の方針はさまざまなので、「うちの親の場合はどうですか?」と一度たずねてみることが、何よりの安心材料になります。確認のひと手間が、親御さんの安心な施設生活の第一歩です。ご家庭のペースで、無理なく準備していきましょう。



✍️ この記事を書いた人
福祉グッズ探偵 TOCHI
- 福祉用具専門相談員
- 福祉用具プランナー
- 住環境コーディネーター2級
- おむつフィッター2級
福祉用具の現場で17年、のべ1万件以上のご相談に向き合ってきました。介護靴や歩行補助用品だけでなく、手すり・住まいの安全対策・排泄ケアまで、ご家庭で本当に役立つ福祉用具選びをお手伝いしてきました。
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そんなご家族の不安に寄り添い、カタログには載らない現場の本音を分かりやすくお伝えします。

