「親が最近、靴を嫌がるようになった」「マジックテープが最後まで閉まらない」「デイサービスから“靴を見直してください”と言われた」——そんな小さな変化から、ふと親御さんの足が気になりはじめたご家族は多いと思います。
こうした変化に気づくと、つい「足が弱ってきたのかな」と考えてしまいがちです。でも、決めつける前に、まずは今の足の状態を一つずつ確認することから始めましょう。どこが合っていないかが分かれば、靴選びの方向も見えてきます。


この記事では、福祉用具の現場で17年お手伝いしてきた経験から、「自分で靴を選んでいいケース」と「先に専門職へ相談した方が安心なケース」の見分け方を中心にお伝えします。商品を売るための記事ではなく、ご家族が「うちの親はどうすべきか」を自分で判断できるようになるための記事です。

📑 目次(タップで開閉)
結論:最初に見るのは「サイズ」より「足幅(ワイズ)」と「調整できるか」
先に結論をお伝えします。足の変化が気になったとき、最初に見るべきは靴の長さ(サイズ)ではなく、足幅(ワイズ)と、履き口やベルトで調整できるかです。
①足幅(ワイズ):外反母趾やむくみがあると、長さは合っていても“幅”がきついことがよくあります
②調整できるか:むくみは日や時間帯で変化します。マジックベルトで“その日の足”に合わせられる靴だと安心です
③変化が強い・装具を使う場合:自分で選ぶ前に、専門職へ相談するのがいちばん安心です
「幅」と「調整力」、そして「強い変化や装具のときは専門職へ」。この3点を押さえるだけで、靴選びの迷いはぐっと減ります。次から一つずつ見ていきましょう。
【この記事の核】自分で靴を選んでいい? 専門職に相談した方がいいケースの見分け方
足の状態は人それぞれです。ご家庭で市販品から選んで問題ないことも多い一方で、先にプロの目を借りた方が安心なケースもあります。まずは親御さんがどちらに近いか、フラットに見てみましょう。

自分で選んでも大丈夫なことが多いケース
- 足の形や幅は大きく変わっていないが、今の靴が少しきつい・脱ぎ履きしにくい
- 夕方に少しむくむ程度で、朝はいつも通り
- 本人が痛がる様子はなく、歩き方も普段と変わらない
このような場合は、幅にゆとりがあり調整しやすい介護シューズに見直すことで、ラクになることが多いです。
先に専門職へ相談した方が安心なケース
- むくみが急に強くなった、左右で大きく違う
- 親指の付け根などの変形が進んでいるように見える
- 装具(短下肢装具など)を使っている
- 歩き方が大きく変わった、転びやすくなったと感じる
このような場合は、無理に市販品で合わせようとせず、ケアマネジャーや地域包括支援センター、福祉用具専門相談員などの窓口に相談してみてください。足の状態に合った選び方を一緒に考えてくれます。
🩺 装具を使っている方へ
装具を使っている場合、靴選びには特に慎重さが必要です。装具の種類や調整によって合う靴が変わるため、担当の専門職(義肢装具士・理学療法士・ケアマネジャー等)に相談しながら選んでください。なお、この記事でお伝えする幅(ワイズ)や着脱しやすさの考え方は、装具を使う方にも共通して役立ちますので、続きもどうぞ参考にしてください。
📋 早見表:自分で選べる? 専門職に相談すべき?
🟢 自分で選べることが多い
足の形・幅は大きく変わっていない/むくみは夕方に軽く出る程度/痛みや歩き方の変化がない → 幅にゆとり・調整しやすい介護シューズを検討
🟠 専門職へ相談が安心
むくみが急に強い・左右差が大きい/変形が進んで見える/装具を使っている/歩き方が大きく変わった → ケアマネ・地域包括支援センター・福祉用具専門相談員へ
ケース別の靴選び(生活目線で)
仕分けができたら、ご家庭で選ぶ場合の考え方を、ケース別に見ていきます。いずれも治療の話ではなく、「圧迫しにくい」「歩きやすい」という暮らしの目線です。
外反母趾がある方の靴選び ─ 「圧迫しない工夫」が鍵
親指の付け根が出っぱってくると、その部分が靴に当たって痛みを感じやすくなります。ポイントは、幅(ワイズ)にゆとりがあり、当たる部分がやわらかい靴を選ぶこと。幅にゆとりがあると、親指側を圧迫しにくくなります。先のとがったデザインより、つま先にゆとりのある丸い形が当たりにくい傾向です。
むくみがある方の靴選び ─ 「変化」を許容する調整力
むくみは、夕方になると強くなったり、日によって変わったりします。だからこそ、その日の足に合わせて調整できる靴が便利です。マジックベルトで甲のきつさを変えられるもの、伸縮素材で足の変化をやさしく受け止めるものが選択肢になります。朝ぴったりの靴が夕方きつい、ということも起こるので、いちばんむくみやすい時間帯に合わせて考えると失敗しにくいです。
装具がある方の靴選び ─ 開口部・片足販売・履かせやすさを見る
短下肢装具などをつけると、普段の靴では甲や幅が足りなくなることがあります。こうしたときは、「装具対応」と書かれた靴が候補になります。開口部が広く、履かせやすい作りのものが多いためです。
左右でサイズや幅が変わる場合は、片足ずつ購入できる商品も選択肢になります。また、デイサービスや施設では、ご本人だけでなく職員さんが履かせやすいかも大切なポイントです。
ただし、装具の適合や合わせ方の判断は、靴選びとは別の専門領域です。装具そのものについては、担当の専門職(義肢装具士・理学療法士・ケアマネジャー等)に相談しながら進めてください。
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靴選びというと「○○cm」という長さに目が行きがちですが、外反母趾やむくみでは足幅(ワイズ=何E)がとても重要です。同じ長さでも、3E・5E・7Eなど幅の規格があります。お店によっては足幅を計測してもらえることもあるので、迷ったら頼ってみてください。

市販品で合わないときの3つの工夫
「いろいろ試したけれど、どうも合わない」というときの工夫を3つご紹介します。
①ワイズ(足幅)の計測を依頼する:長さだけでなく幅を測ってもらうと、合う靴の幅が分かります
②靴下の厚みで足と靴の隙間を調整する:むくみで変化する日は、靴下の厚さで微調整するのも一つの手です
③地域包括支援センターやケアマネに相談し、福祉用具のプロに繋がる:抱え込まず窓口に相談すると、足の状態に合った選び方を一緒に考えてもらえます

足の変化が大きいときは、3番目がいちばんの近道です。なお、②の靴下や、隙間を埋める調整用のインソールは、市販品でも手に入ります。むくみの程度に合わせて、厚みや素材を選んでみてください。
🛒 Amazonで「のびる介護用靴下」のサイズ・在庫を確認する 🛒 Amazonで「幅調整インソール」のサイズ・在庫を確認するTOCHIの現場メモ
🔍 現場メモ①:幅にゆとりのある靴に替えたら、足取りが軽そうだった
親指の付け根が当たって痛そうにしていた利用者さんに、幅にゆとりのある靴をご提案したことがあります。後日お会いすると、以前より足元を気にせず歩いていらっしゃいました。あくまで私が見た様子ですが、「当たらない」というだけで、こんなに表情が変わるのかと感じた一件でした。
🔍 現場メモ②:朝ぴったり、夕方きつい
「朝はちょうどいいのに、夕方になると靴がきつそう」というご相談はとても多いです。むくみは時間帯で変わるので、マジックベルトで調整できる靴に替えたら、夕方も無理なく過ごせるようになった、という声をよくいただきます。
🔍 現場メモ③:早めに気づいたご家族
「最近マジックテープが閉まりにくい」と気づいたご家族が、決めつけずに早めにケアマネさんへ相談されたことがありました。結果として足の状態に合った靴選びにつながり、「気づいたとき動いてよかった」と話してくださいました。小さな変化に気づくことが、いちばんの第一歩です。
よくある質問
Q. 親の足のサイズが左右で違うのですが?
左右で差が出ることは珍しくありません。大きい方の足に合わせるのが基本で、小さい方は中敷きや靴下で調整します。差が大きい場合は、片足ずつ買える商品もあるので、相談員に聞いてみてください。
Q. 試着は何時ごろがいいですか?
むくみがある場合は、いちばんむくみやすい夕方に合わせると失敗しにくいです。朝ぴったりだと、夕方きつくなることがあります。
Q. 装具をつけている場合、普通の介護靴でも大丈夫ですか?
普通の靴では、装具の分だけ甲や幅が足りなくなることがあります。「装具対応」や開口部が広い靴を候補にすると、履かせやすくなります。左右差がある場合は片足販売も検討してみてください。なお、装具そのものの適合は、義肢装具士や理学療法士などの専門職に確認しながら進めると安心です。

足の変化を、施設や相談員にどう伝える?/まとめ
最後に、デイサービスのスタッフやケアマネジャーに足の変化を伝えるときのコツです。大切なのは、「観察した事実」をそのまま伝えること。
- 「最近、夕方になると靴をきつそうにしています」
- 「マジックテープが最後まで閉まりにくくなりました」
- 「親指の付け根が当たって痛がることがあります」
このように、診断ではなく見たままの様子を伝えると、専門職も状況をつかみやすく、適切な提案につながります。装具を使っている方は、ここでも改めて、担当の専門職に相談しながら靴を選んでください。
次の行動は、この順番で
① まず足の状態を確認する(幅・むくみ・痛み・歩き方)
② 軽度なら、幅広・調整できる介護靴を確認する
③ 変化が強い・装具がある・痛みが強い場合は、専門職(ケアマネ・地域包括支援センター)へ相談する
足の変化は、「足が弱った」と決めつける必要はありません。一つずつ確認していけば、今の足に合う一足はきっと見つかります。焦らず、ご家庭のペースで進めていきましょう。



✍️ この記事を書いた人
福祉グッズ探偵 TOCHI
- 福祉用具専門相談員
- 福祉用具プランナー
- 住環境コーディネーター2級
- おむつフィッター2級
福祉用具の現場で17年、のべ1万件以上のご相談に向き合ってきました。介護靴や歩行補助用品だけでなく、手すり・住まいの安全対策・排泄ケアまで、ご家庭で本当に役立つ福祉用具選びをお手伝いしてきました。
「親のために何を選べばいいか分からない」
そんなご家族の不安に寄り添い、カタログには載らない現場の本音を分かりやすくお伝えします。
